おしごと奮闘記 仕事

おしごと奮闘記その1|車で物件回りを命ぜられる

おしごと奮闘記

就職してからまだ10日もたたない7日目の夕方のこと

いつも無口な若い社員が近づいてきて、唐突に無表情で
「明日、賃貸管理をしている駐車場をひとりで車で回ってゴミ拾いをして来てください」

採用の条件として「運転免許証あれば尚可」ではありましたが、面接時に
「最近6,7年は運転していないので不安」という旨は伝えていました。

面接官の「まあ、そんなに運転することもないでしょう。」とのやりとりがあり、少し安堵しておりました。
いつかは車の運転もやむ無しとは思っていましたが、入ってまだ1週間で駐車場回りを命ぜられるとは思ってもいませんでした。しかもひとりで何十ケ所ものゴミ拾いです。

その晩は緊張と不安で、いつも爆睡してる私が夜中に何度も目が覚めてしまいました。

駐車場名も駐車場の場所もわからないのに、地図を見ながら行って来てくださいと。

普段は従順な私ですがさすがにそれは無理と、このときばかりはゴネました。
「事務の仕事もまだ覚えてない、7年運転していない、地図もわからない」
不慣れな運転で事故を起こしては元も子もありません。

「それでは助手席に社長に乗ってもらってまずは、運転に慣れてください」と譲歩してくれました。

翌日助手席に社長が乗り、道を教えてもらいながらさっそく運転の練習を開始です。
社長は70代、10歳ほどの年齢差はありますが同じ時代を生きてきた者同士、運転しながらの会話は緊張することもなく、7年ぶりの割には運転の勘も恐れていたほど鈍っていませんでした。

7年間、運転する機会もなくこの先も運転することはほぼないと思っていました。
今年は免許更新の年ですが、5年後(4年後)の更新を最後にそのまた5年後は免許返納を漠然とイメージしていたところでした。

こんな高齢者の運転不慣れな私に命を預けてくれた社長に感謝です。

そして同乗した社長は、慌てることなく運転に少しずつ慣れていってくださいと助言してくれました。
社長からGOサインがでるまでは、駐車場回り、ゴミ拾いの使命が少し延期されたというわけです。

65歳で採用してもらえたのは、こういうことだったのでしょうか。
最初の1週間の仕事の覚えも悪い、ならゴミ拾いでもしてもらおうか、嫌なら辞めてもらおうか、そんな策略(いじめ?)なのかとさえ思ってしまいました。

私に仕事を教えてくれてるパートさんも、入社当初やはり駐車場回りをしてゴミ拾いをさせられていたとのこと。
それもひとりでゴミ拾いの役を担っていたらしく、同じく辞めさせるためのいじめなのかと思ったそうです。

そうではなく小さい事務所では人手が足りないので、事務で採用されたとはいえ必然的に雑用、掃除もパートの仕事となってしまうのでしょう。

続ける自信を失いかけましたが、気持ちを共有できる同僚のパートさんがいてくれて少し気を取り直しました。

生活費を稼がないと生きていけない60代おひとり様には厳しい現実です。

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