波瀾万丈50代

50代の転落人生|11話 弁護士との法律相談

波瀾万丈50代

そんな時、夫から驚くべきメール✉が届きます。

「いつまで離婚届を出さないのか。自分はいずれ離婚して別々の人生を歩むのはどうかと提案しただけで、あなたが離婚を望んだのだから早く離婚届を出して下さい。家族みんなの前で俺を追い出した。自分の言ったことに責任をとって下さい」という内容です。

心臓の鼓動が大きく波打ち、心の震えもしばらく止まりませんでした。

夫にとっては、この家にいられなくなったきっかけを作った私に対する苛立ちがあったのだと思います。まだ何も起こっていないのに、この先の悪い事態ばかりを想像し、精神的に追い込められていき、離婚届を役所に提出しました。

離婚届けはあっさりしたものでした。手続きは大変だとよくいいますが、年金と健康保険を世帯から外す書類ぐらいで、淡々と手続きは終わりました。すでに僅かな貯金は分けてありましたが、この家に住まわせてやってるから年金分割はしないと言われ、離婚時の当然の請求も、そして不貞をされた側が得られる請求の権利も何も得ることなく泣き寝入りでした。

こんな仕打ちを受けるとは想像もしませんでしたが、いつの日からか、こんな離婚騒動になる前からかとっくに私との生活を終わらせたかったのでしょう。

関係をなんとか修復しようと思っていた時、悲しみや怒りと正反対の表情を演じていたときは苦しくてたまりませんでした。同じように夫は、自分のやっていることを隠しながら平然と私と生活していることが苦しかったのかも知れません。そんな夫の変化に気づかなかった自分に対してもやりきれない気持ちでいっぱいになりました。

このままでは、住居を失い兼ねない私を心配した友人が、裁判で闘うべきだと忠告してくれました。それに関しては私も当初から考えていたことですが、仮に裁判したとしても親の財産は離婚の財産分与の対象にならないとの知識はありましたので、今の夫から慰謝料を取れる可能性は低いと思っていたのです。

しかし、何か解決の糸口がみつかるかも知れないと、再び市の弁護士との法律相談を利用しました。その結果によっては裁判も辞さない決心でした。

限られた時間で、自分の今までの経緯と現在の状況を説明したというよりは、なんとか自分の立ち場が優位にならないかとまくし立てたといった感じでした。

弁護士は年配の男性でした。こんな日常茶飯事の相談に耳を傾けてはくれましたが、
「ずいぶんと破天荒なご主人ですね」と半分鼻で笑うような、私に対してもあきれたような表情で最後にこう言いました。
「家の名義がご主人の親の名義である以上、今裁判してもどうにもなりませんね。今は火に油を注がないほうがよろしいのではないですか」

予測はしていましたが、自分の今の弱い立場を再確認し、居場所のない家に帰る足取りの重さは鉛のようでした。







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