波瀾万丈50代

50代の転落人生|1話 終わりの始まり

波瀾万丈50代

電車で1時間半ほどで都内に通勤可能な東京近郊のマンションに住んでいました。
長男が1歳過ぎた頃、まだバブル前でしたが不動産がどんどん上がっていくのに焦りを感じ、高騰する前にと購入した3LDKのマンションです。

息子2人の幼稚園・小学校・中学校・高校時代を過ごし、地域との交流も楽しく生活していました。何度も転居を繰り返しやっと落ち着いた住居です。
その息子たちも大学生になり家を出て、お盆や年末年始には帰省します。2人の故郷でもあり、このままずっと生涯住み続けられたらいいなと思うようになっていました。

そんなある日、夫の携帯に義母からの電話が鳴ります。

義母
義母

近くに良いマンションが建ったのよ。買ったらどう?

夫

金ないよ

義母
義母

資金の援助はしてあげますよ

電話を切った後、夫からもう決まったかのようにマンション購入の話を告げられます。あまりにも突然の話に咄嗟に返す言葉がみつからず、
「急に言われても今の生活を急には変えられない・・」とやっとの思いで自分の気持ちを伝えます。そもそもそんなに簡単に、親のお金を使うことを受け入れてしまうことも私は腑に落ちないのです。その顔が不服そうだったのでしょう。
「もんくがあるなら黙ってないでおふくろにちゃんと自分の気持を伝えろよ」と今度は夫が不機嫌になります。

そして数日後にマンションの物件を見に行くことになりました。もちろん義父母同席です。
とても素敵なマンションでしたが、国道沿いで窓を開けられないほどの騒音です。定期借地権付というのも気になりました。

東京近郊に住んでいる私達が、都内に出るのに不便だから少しでも都心に近い地域ということで、義父母の住居の近くのマンションを勧められたのです。

しかし、現在東京に通勤、通学してる者は家族にはいないので、そういう意味では不便を感じていませんでした。自分たちが高齢になったから近くに来て欲しいという願いもあったのでしょう。そういうことなら、長男である夫と結婚したときからいつかは・・という覚悟はありましたが。

今日ここですぐには決められない旨を伝えました。100%契約に漕ぎ着けられるだろうと部屋を案内してくれた営業のスタッフもガクッと肩を落としてる感じでした。
後でわかったことですが、義母は手付金も持参してたそうです。

自宅へ向かう帰路の車の中で携帯が鳴ります。 

義母
義母

〇〇子さん(私のこと)がその気がないのがわかったのでキャンセルしました


私のせいで、この話は一瞬にして白紙となってしまいました。
今までは、義父母に気を遣いながら合わせてきたことで、なんとか均衡を保ち穏やかな関係でいられたのかもしれません。せっかくここまで平穏だったのに、やはりせっかくのお話に従うべきだったのかと後悔にも似た複雑な心境で心がざわつきます。

この一件の後は、何事もなく過ごしていましたが、また1年を過ぎた頃事態が動きます。

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