母が3ヶ月前に精神科専門病院の施設に入院する際の誓約書のような書類に
「こちらの病院は精神科専門のため延命治療はしません(できません)」との文言があり私たちもそれを承知で契約書にサインしました。
ところが先日の心不全の治療としてペースメーカー植込み手術をしたことで、施設側からすると私たちが延命治療を選択したということで、その後何度も延命治療に対する意向を再確認されることになりました。
この時点でペースメーカー植込み手術は高齢者にとっては延命治療の手段であることを思い知らされます。
ペースメーカーの状況を医療施設へ送るサービスということで、患者の側に置くようにとコミュニケータと呼ばれる専用の送信機を渡されました。
こちらの施設においては利用実績があまりないようでした。
知識のないままペースメーカー手術をしたことにより、お世話になる施設側の対応にも戸惑いがあったようです。
心臓以外の他の臓器が弱っているところに、ペースメーカーを入れることにより無理に生かされるている状態とも言われました。
その後の経過は症状が落ち着く間もなく刻一刻と母の症状が悪化していきます。
手術後 | 症状 | 施設からの確認 |
14日後 | 食後大きな咳込み、発熱。誤嚥性肺炎と診断 右の肺に雑音あり、酸素、抗菌薬の治療を開始 | 栄養状態、腎臓の状態も悪い 万が一のことがあった場合当院で できる範囲のことでよろしかったですね? |
15日後 | 抗菌薬が効いて改善しつつあるが、右の肺に雑音あり 酸素97%、熱は36℃台であるが痰がらみがあるので吸引をしている | |
20日後 | 誤嚥性肺炎の採血結果、改善なし 肺の機能が下がると心臓に負担がかかる 耐性のない抗菌薬の治療を開始 慢性の心不全が悪化、尿の量が少ない 3リットルの酸素を開始しているが急変の可能性あり | 心臓が止まっても延命治療はしないが よろしかったですね? |
28日後 | 抗菌薬の治療で改善しているが肺の機能が下がると心臓に負担がかかる 尿を出す治療をしている | |
42日後 | 誤嚥性肺炎で抗菌薬を投与後、食事を再開するも尿路感染症を発症 抗菌薬の治療は心臓に負担がかかり慢性心不全悪化し1リットル酸素投与 体力が弱っている、低栄養になっている、腎臓の値も悪い、急変することもある | 点滴、抗菌薬などの処置はしますが 延命処置はできないので、何度も確認しますがよろしかったでしょうか? |
契約書に署名をしているにも関わらず、症状の報告があるたびごとに、延命処置不可の再確認をされるのですが
「承知しています」と返答するしかありません。
病院側からしたら、その後のトラブル防止のためとはいえ家族にとっては心苦しい繰り返しの質問でした。
母の苦しみを和らげることができるかも知れないと、望みを託してペースメーカーを選択しましたが、その期待もわずか1ヶ月半後には効果を見出すことなく母は天寿を全うしました。