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96歳母のペースメーカー植込み手術

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先日、心不全で救急搬送された母はペースメーカー植込み手術をすることになりましたが、家族の承諾直後から植込み手術へ向けて慌ただしく処置が始まりました。

本番手術の前に一時的にペーシングカテーテルの挿入が必要とのことで、すぐに母の鎖骨から仮のカテーテルがあっという間に挿入されました。

処置後のレントゲン写真で鎖骨のあたりからリードが母の左胸に通っているのがわかります。
すでに7月の大腿骨骨折時に金属が埋められており、体重40kgをきった身体にたて続けに異物を埋め込む治療の選択は正しかったのだろうかと、自問自答を繰り返すものの答えが出るはずはありません。

数日後、本番手術の日が決まり、夕方16:30~17:00の間に病院に来るように連絡がありました。
指定された時間に病院に着くと手術はもう終わっていて、手術自体はリスクもなく順調に終わり1週間後にはもう退院可能とのことで、ひとまずは安心しました。

手術の同意書と簡単なアンケートに記入し、私たちの体温を測られ、やっと術後の母に会うことができました。

先日の大声をあげていた母ではなく穏やかな母に戻っていて、そんな母の姿を見たときは手術をして良かったと思うことができました。
先日の喚声は認知症、または精神不安定によるものだと言われてましたが、心不全による苦しみの叫びだったのではないかと勝手に思い込みます。

聞き取りづらい部分もありましたが、久しぶりに母と会話もでき、こんな状態でも力を振り絞って頑張って生きている母を見て、人間の生き様や、今まで漠然としていた自分自身の死生観を改めて見つめ直すきっかけとなりました。

数年前、母親を見送った同い年の友人が言ってました。
「母親って特別な存在、どんな姿になってもずっと生きていて欲しい」
その時はなんとなく聞き流していましたが、今この瞬間友人の言葉を噛み締めています。

手術が何のリスクもなかったので10日後には無事退院、また元の精神科専門病院に転院です。

転院の付き添いで再び病院へ、車いすに座った母は嬉しそうに笑みを浮かべています。ペースメーカーを入れた事やこの後どこへ行くかもよくわかっていないようですが、娘2人がそばにいることの安心感の笑みだったのでしょう。

再び精神科専門病院に戻りましたが、母の記憶には3ヶ月間自分がここに居た記憶もなく、また見たこともない場所に連れてこられたという不安と恐怖で精神状態が高ぶってきます。

移動中の介護タクシーの中では穏やかだった母がまた一変してしまいます。
家族の介護のもと、自宅で一緒に過ごすことが母にとっては幸せなのはわかっていても、それができない申し訳なさがこみ上げてきます。

転院の手続きが終わり、母に「また来るね」と言った瞬間にさらに母の不安が増し叫び声をあげてしまいました。
高齢者にとって、ましてや認知症患者にとって今回のような急激な環境の変化は、人的・物理的な変化を伴い緊張を強いられるため精神状態が不安定になってしまうのです。

次に会えるのは20日後です。

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